Friday, 10 December 2010

祈り

今日は、宗教団体によるHIV/エイズ予防啓発活動に参加するピア・エデュケーターの研修が行われました。朝10時から夕方6時まで、アコソンボにあるキリスト教教会の会堂に、キリスト教徒の若者16名とイスラム教徒の若者5名が集まりました。今回のトレーナーはPPAGという団体から研修経験の豊富な方が来てくれたので、とても充実した内容になっていました。ちなみに、PPAGとは、Planned Parenthood Association of Ghana(ガーナ家族計画協会)の略称です。

まずはキリスト教徒の参加者代表がキリスト教のお祈りを捧げて賛美歌を歌いました。それから参加者の自己紹介と、それぞれが研修に期待することを確認。そして、主に講義形式でHIV/エイズに関する基礎知識を学び、その後、グループワークを取り入れながら差別と偏見について考える時間を持ちました。みんなとても真剣に講義を聞いてHIV/エイズに関する知識を深め、差別や偏見をなくしていこうという姿勢をしっかりと持っていて、全体的にはとても順調に進んで行ったんだけれど、最後の最後で、この問題に取り組むことの大切さと難しさを痛感させられました。最後のグループワークでどんなことをやったか紹介しますので、みなさんも自分が参加者になったつもりで考えてみて下さい。

ここに、6名の方の写真があります。そのうち2名はHIV陽性者です。写真に添えられたプロフィールを読んで、どの2名がHIV陽性者だと思うか、その理由も含めて教えて下さい。

A.この男性は漁師で、2人の女性と結婚していて、子供が3人います。
B.この女性は教師で、2人のボーイフレンドがいます。教会へは通っていません。
C.この男性は弁護士で、3人のガールフレンドがいます。夜遊びが好きです。
  教会へは通っていません。
D.この女性は看護師で、結婚していませんが、子供が1人います。
E.この男性は教師で、1人の女性と結婚しています。パーティを開くのが好きです。
F.この女性は主婦で、1人の男性と結婚していますが、子供はいません。
  夫にはこの女性の他に2人の妻がいます。

あなたは、どの2名がHIV陽性者か分かりましたか?グループワークでは、2つのグループがどちらも、BさんとCさんがHIV陽性者だと言い切りました。その理由は、彼らが結婚以外で複数のパートナーを持ち、教会に通っていないから、というものでした。

でも、実際の検査結果で陽性反応が出たのは、AさんとDさんでした。実は、社会的な立場や嗜好を紹介しただけのこのプロフィールからは、陽性の有無を見極めることは不可能、というのが正しい答えでした。感染につながる可能性の高い危険な行動(HIVに感染している人とのコンドームなしのセックスなど)を取ったかどうかは、このプロフィールからは読み取れないようになっているのです。教会に通っているかいないかも、感染の有無を判断する材料にはなりません。

このグループワークをとおして、感染に直接関係のない行動から誰かの感染を判断するというのは、実はそれこそが差別や偏見につながっているだということを実感することが出来たと思います。これは決して、参加者が浅はかだったからとか、それ以前に学んだことを理解できていなかったから、というわけではないと思います。みんなとても真剣に参加していたし、予防啓発活動に熱心に取り組もうとしています。それでも、あるいは、だからこそ、感染につながりそうな要素に対して過敏になってしまったり、正解に急ごうとしてしまったんだと思います。でも、最後にこのワークをやったことで、正しい知識を持つことと差別偏見を持たないことの本当の大切さを、より理解することが出来たのではないかと期待しています。

最後に、イスラム教徒の参加者代表がイスラム教のお祈りを捧げました。イスラム教のお祈りを聞くのは初めてだったんだけれど、美しい音楽のように唱えられるその祈りに合わせて、キリスト教の子たちも繰り返し「アーメン」と囁く。夕暮れの柔らかな光の中で、それはとても美しい光景でした。私も心の中で、彼らの今後の活躍を祈りました。祈るだけではダメなので、彼らの今後の活動をしっかりモニタリングし、出来る限りの支援をしていく予定です。

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